現代において、詳しい仕組みは分からずとも、使い方がわかれば問題ない事というのはたくさんあります。
例えば、携帯電話も、細かい部品の名前や、データ通信や音声通話ができる仕組みを知らなくても使えます。
SIMカードも、知らなくていいようなものの1つだったかもしれません。
ところが、格安SIMの登場によって、SIMカードは知っておいた方がいいものになりつつあると思います。そこで、格安SIMとは何かについて、分かりやすく説明します。
simカードは通信や音声通話を行うときに必要
スマートフォンやタブレットといった端末で、データ通信や音声通話を行うときに必要になるICチップを指します。
ここでいうデータ通信とは、ドコモやauといったキャリアの回線を使った通信を指していますから、Wi-FiがあればSIMカードがなくても端末だけで、インターネットなどに繋ぐことが出来ます。
また、SIMカードは利用者を特定するときにも使われます。
例えば、データ容量3GBのSIMカードと、そのSIMカードを使える端末が2台あった場合、片方の端末で3GBの容量を使い切ってしまいそうだから、もう片方の端末にSIMカードを入れ替えたとしても、SIMカード単位でデータ容量が決まっていますから、入れ替えても意味がないということになります。
電話番号も、このSIMカードに記録されています。2台の端末に2枚のSIMカードがあったとして、SIMカードを入れ替えたら、電話番号も入れ替わるといった感じです。
入れ替えると簡単に言いましたが、SIMカードには「標準」「micro」「nano」の3つの大きさがあるため、大きさが違えば使えません。また、キャリアで購入した端末には、他社の回線が利用できないように、SIMロックという仕組みが存在します。
もしも、他社のSIMカードを使いたいのであれば、このロックを解除してもらう必要があります。
格安simの特徴とは?
その名の通り、キャリアと比べて格安で利用できるSIMカードの事です。
キャリアのSIMカードの利用を止めて、格安SIMを端末に入れ替えて利用すれば、月額料金が安く(単純に格安SIMのプランが安い)なります。
この場合、肝心のSIMカードの料金ですが、端末代金を分割で払っている場合には、月額基本料金+端末代金になります。その端末代金を引いた部分です。端末を一括で購入している、すでに払い終えているという場合には、月額全てにあたるでしょう。
なぜ、格安で提供できるかについてですが、主な理由の一つは、回線を大手のキャリアから借りていることにあります。
すでに全国に張り巡らされた回線を使えますから、新たに作る設備は最小限で良いですし、回線を維持するための整備費もかかりません。
他にも理由はありますが、大部分はここが理由と言って良いでしょう。
そのため、利用可能エリアはレンタル元のキャリアと同じになります。
値段の違いについては、その時々の条件次第なので、なかなかこうだとは言いにくいです。
例えば、データ容量が5GBの場合、キャリアだと5,000円ほどかかるのが一般的ですが、格安SIMの場合には、5GBに5分以内かけ放題のオプションを付けても3,000円に満たないことでしょう。
格安simを利用するうえでの注意点
まず、ドコモメールなどの、キャリアメールを使うことが出来ません。
そのため、キャリアメールをサイトへの登録などで利用している場合には、乗り換える前に登録アドレスの変更をしておいた方が良いでしょう。MVNOにはメールがないところが多いですから、フリーメールを使うことになるでしょう。
通信速度ですが、キャリアの時よりも遅くなる傾向にあります。
ただし、それは数字の上の話で、昼食時や終業後などの多くの人が同時に利用して混み合っているとき以外は、体感できるほどの差はなく、不便には感じないと思います。
最後に端末についてですが、MVNOがどこのキャリアから回線をレンタルしているのか次第で、キャリアの端末をそのまま使えるかどうかが決まります。それまで使っていた端末をそのまま使うこともできますので、事前に確認して見てください。
ドコモの回線を使っているMVNOであれば、ドコモ端末なら特に操作は必要ありませんが、au回線を使っていたらSIMロック解除が必要になります。
端末によってはSIMロック解除を行っても使えないことがあります。使おうとしている端末の対応状況については、事前に動作確認済み端末を各社ホームページで確認しておいてください。
利用するには端末が必要
キャリアでは端末とセットにしていることが多いですが、MVNOの場合格安SIMの値段を表示していることがほとんどです。
端末も販売していますが、表示金額にプラスして端末料金がかかりますから、注意が必要です。
simカードと端末の違いは?
スマートフォンで通話やデータ通信を行うには、端末とSIMカードの2つの要素が必要になります。この2つは常に一緒にあるのが当たり前がゆえに、人によってはSIMカードの存在すらしらないこともあるでしょう。
ところが、それぞれが重要な意味合いを持っているため、注意しておきたいところです。
simカードはデータ通信や音声通話を利用するためのもの
大雑把な話になりますが、SIMカードは音声通話をするために回線につなげたり、データ通信をするために回線につなげたりするということが役割です。
会社側から見ると、個人を識別するためにも使っていますが、消費者側としてはあまり興味がないところでしょう。
大事なのは電話番号やメールアドレスといった情報も、端末ではなくてSIMカードに記録されているということです。
音声通話ができる端末AのSIMカードを、端末Bに入れ替えて、電話を掛けると端末Bに着信が行きます。
データ通信におけるデータ量の計算も、SIMカード単位で行われるため、携帯料金の月額というのは基本的に、SIMカードに関するお金になるでしょう。
端末が関わってくるのは、端末を分割払いで購入した時になります。
ダウンロードした音楽や、自分で撮った写真、アプリや電話帳といったものに関しては、端末に保存されています。
ですから、格安simに乗り換えた後、今まで使っていた端末で運用したとしても、使っていたアプリや画像データはそのまま残っているのです。
エリアメール、おサイフケータイ、テザリングは端末依存
災害などが起きた時に送られてくるエリアメール(緊急速報:ETWS)やおサイフケータイなどは、SIMカードがどうだというわけではなくて、端末にそういった機能がついているかどうかの問題になります。
エリアメールに関しては、気象庁レベルのものであればほぼすべての端末が受信しますが、自治体発信のものだと受信しない端末が増えてくるのだそうです。
余談になりますが、SIMカードが入っていないiPhoneがエリアメールを受信したという話もありますから、SIMカードが関わっていないのがわかるのではないでしょうか。
テザリングに関しては少しだけ複雑になります。
まず格安SIMにおいては、端末にテザリング機能さえついていれば、一部を除いてそのまま使うことが出来ます。
キャリアだとどこの会社であっても、テザリングを行うためには申し込みが必要になるそうです。
ドコモの話になりますが、ドコモの端末はテザリングを行う際に、専用の接続先に変わるようになっています。
そのためドコモとの契約を解除して、格安SIMなどを入れて使っても、テザリングは使えません。
一見しただけでは、SIMカードが関わっているのではないかと感じてしまいますが、端末の設定が関係してくる話ですから、やはり本体の方に問題があるとみていいでしょう。
通信状況が悪いのはsimカードと端末の相性か
周波数の話になりますが、それぞれの端末は受信できる周波数が決まっていて、それぞれの回線が使っているものと対応していないと、通信状況が悪くなることがあります。
周波数はbandと呼ばれるもので、分けられていて、ドコモだとband1、band19等いくつかのbandを使っています。
bandにはそれぞれ役割がありますが、1つでもあっていれば、その電波が届く範囲では利用することが出来ますが、たくさんあるほど通信が安定するでしょう。
現実の問題として、どの通信事業者でもband1は使っていて、端末としても世界中どこで作られたものであっても、大体はband1に対応していますから、試しに買ってみて全く使えないということはないでしょう。
ただし、band1しかあっていない場合、屋内まで電波が届きにくいため、通信速度が遅くなってしまいます。
ドコモの端末のsimロックを解除して、au系のSIMカードを使う場合、周波数がband1しかあっていないということがありますから気を付けてください。
必要な機能や不具合の原因はしっかり把握
おサイフケータイを利用したいと考えているときに、「格安SIMに、おサイフケータイの機能を付けられますか」と尋ねても、無意味な話です。
まだ端末を準備していない段階であればいいですが、すでにその機能がついていない端末を買ってしまったらもったいない話になってしまいます。事前の確認と情報の把握をしっかり行いましょう。
何を基準に格安スマホと言っているのか
キャリアとMNOのように同じものを指して、別の呼び方をしているものもありますが、逆に同じ言葉なのに違うものを指しているものもあります。本当に違う意味がいくつもある言葉なのか、誤用が広まったのかはさておき、見ている側としてはどういった意味で使っているのかを考える必要があるでしょう。
そこで今回は「格安スマホ」という言葉について、使われ方と意味について説明します。
格安で販売されているスマートフォン端末を指している場合
スマートフォンを携帯電話機として扱うためには、端末はもちろんデータ通信や音声通話を行うためのSIMカードが必要になります。
一応Wi-Fi環境があればインターネットにつなげることもできますが、それはWi-Fiの電波が飛んでいる範囲内でしか利用できません。そのため、携帯電話としての役割は果たすことは出来ないでしょう。
格安スマホといった場合、まず考えられるのが、この端末だけを指して使われる言葉です。
アップルストアでiPhoneを買ったとき、SIMカードはついておらず、端末だけを手に入れることが出来ますが、こういった状態の端末を指して使う言葉と言えます。
iPhoneは「格安」ではありませんので、言葉としては正確ではありませんが、ドコモなどで通話機能やデータ通信機能とセットで購入するようなものではないということです。
端末だけのスマートフォンは、様々な会社から発売されていて、Amazonなどのネット通販でも見ることが出来ます。
上はiPhoneのように高いものから、下は1万円以下の安いものまであり、この中で安いものを指して「格安スマホ」と呼んでいることが考えられます。
MVNOを利用するときには、SIMカードの月額+端末の値段がかかりますから、この部分を安くすれば、全体としての安さにつながるでしょう。
安いsimカードを挿入したスマートフォンを指している場合
格安SIMを入れたスマートフォンを「格安スマホ」と言っていることがあります。
そのため、キャリアの端末を「格安スマホにする」といった表現が使われています。
この時焦点を当てられるのは、格安SIMの方で、端末は何でも構いません。
iPhoneに格安SIMを入れても、格安スマホになります。
端末が関係ないため、格安スマホをこのように使っている場合には、端末の説明は殆どなく、いかに格安SIMのプランを安くするのかの話がなされます。
ホームページなどで調べてみると、プラン説明とキャリアの端末でも使えるようにとのことで、SIMロック解除などの話をしているところが多い印象です。
端末ではなく格安simを指している場合
最後に、格安SIMの事を指して「格安スマホ」と称している人もいます。
格安SIMと格安スマホを混同してしまっているのか、初めからMVNOのプランの説明だけを行って、端末に対する言及はありません。
SIMカードとは、データ通信や音声通話、会社から見たら個人の特定に使われるICチップの事ですから、それだけでは何の役にも立たないでしょう。
ただし端末代金をすべて払っていれば、携帯料金になるのはデータ通信と音声通話など、SIMカードの領分になるため、お金的な見方をすれば「格安SIM」=「格安スマホ」も間違いではないのでしょう。
調査する時はどの意味で使っているのかを考えるべし
格安SIMへの乗り換えを検討す際に、自分なりに様々なサイトを調べて、情報を収集する人もいるでしょう。
格安スマホという言葉に関して言えば、本当はどう使われることが正しい言葉の使い方なのかがよくわかりませんが、それぞれのサイトにおいて、どのような使われ方をしているのかを考えてから読むようにしないと混乱してしまいます。
また、知っている人に質問するときにも、自分が「格安スマホ」をどのような意味で使っているのかの説明をしないと、求めた回答が得られないこともあるでしょう。